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【特集】九谷焼の歴史変えた輝きの“赤” 能登出身の現代美術家が追い求めた色とは…


 

【2025.02.20 OA】
加賀市を拠点に世界で活躍する現代美術家の中村元風さん。その作風は唯一無二、「輝きの芸術家」と呼ばれる元風さんが、26年に及ぶ研究の末に発見した“奇跡の赤色”に迫ります。

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https://news.ntv.co.jp/n/ktk/category/life/ktd2f58b9d7c7a45199b849896611fa775

光るような輝く“赤”… 「希赤 陽」とタイトルが付けられたこの作品。九谷焼の手法をベースにしていますが、赤色は、これまでとは全く違う輝きを放っています。

来場者:
「陶器とは思えないようなキラキラした素晴らしい赤だと思います」
「凄い生命感に溢れていて元気をもらいました」

この作品の作者、中村元風さん。能登に生まれ、加賀市を本拠地にして世界で活躍しています。肩書は現代美術家。九谷陶磁の枠を超えた作風は「輝きの芸術家」とも評されています。

現代美術家・中村 元風 さん:
「一つは能登半島地震からの復興を支援すること、もう一つは僕の地元である石川県で、出来るだけたくさんの皆さんに見て欲しい、もらいたい、それが個展にかける思いです」

金沢で開かれている中村元風展。

地元石川で18年ぶりの個展には、100を超える作品が並びますが、目を引くのは、何と言ってもその色合い。九谷五彩である、赤、黄、緑、紺、紫がベースとなっていますが、その透明感や輝きは全く新しい色合いです。

中でも際立っているのは“赤”。元風さんが世界で初めて創り出したと言われている色です。その色は、どのように作られているのか… 

元風さんの工房を訪ねてみると、そこはアトリエというより研究室。数多くの薬品や鉱物が並ぶ中、元風さんはこの姿で創作活動をしていました。

中村 元風 さん:
「家業としては九谷焼から始まっていて、こういう仕事をしながら、この赤が紺、緑、黄色、紫と同じように本当に透明感のある真っ赤だったらいいなと。なんとしても創り出したい、そういう気持ちで研究を始めました」

若い頃に大学院で生物学の研究をしていたという元風さんが、陶芸の道に入ったのは九谷焼の名工として知られる中村翠恒さんとの出会いから。25歳からろくろの修行を始め、釉薬にもこだわり、自分だけの色を追及しました。

釉薬の量を量っているのは、10万分の1ミリグラムまで計れる電子のはかり。研究に没頭するあまり、調合の粉を吸いすぎて歩行困難になった経験もあるという元風さん。果てしない時間をかけた研究の末に到達したのが輝きの赤色でした。

中村 元風 さん:
「出来たのが26年目の東日本大震災が起こる直前の朝でした。これが従来の紫、紺青緑黄色と赤です。一番上が僕がつくり出した希赤の赤です。こちらが一度塗りでこちらが二度塗りで、二度塗ると色が濃くなっていくんですけれども、従来の赤というのは何回塗ってもこの赤で、いわゆる透明感のある赤にはならない。僕の赤はどんどんどんどん真っ赤になっていく」

九谷焼の赤。中でも伝統的な赤絵細描の世界で活躍する山本芳岳さんに、元風さんがつくり出した赤色について尋ねました。

陶芸家・山本 芳岳 さん:
「私たちの使っている赤とはちょっと違ってね、本当の赤、赤色ですね。九谷には全くない独特の赤で、やっぱりインパクトが凄いですね」

九谷焼の長い歴史の中でも、この赤は、全く新しい赤だといいます。

能美市九谷焼美術館・中矢 進一 館長:
「古九谷から始まる九谷焼の赤というのはガラス質ではないんです。もともと古九谷の技術的なルーツは中国にあります。中国の赤というのは古九谷の赤と全く一緒、輝きをはなたない色なんですよ。だけども元風さんの赤は輝きをはなつガラス質の赤なんです。言ってみれば驚愕の赤。考えられないというか」

世界から注目されてきた元風さん。

「皆さんこんにちは。大変なところを来ていただいて深く感謝しています」

2010年に上海の国立美術館で開かれた大規模な個展。芸術の世界に新しい風を吹き込む元風さんの作品は、人々に鮮烈な印象を与えました。

また、去年、加賀温泉駅構内のデザインを監修し、壁面に大きな古九谷をあしらいました。

今回開かれている個展には、元風さんの故郷に対する気持ちが込められています。

白山を描いた「オーロラ 白山 望」。光り輝く緑や金、白などの輝く白山の上には、希望の赤に染まった空です。

能登の被災地に捧げる陶板の連作「NOTO」。被災地が絶望から希望に向かう道のりが表現されています。

能美市九谷焼美術館・中矢 進一 館長:
「革命的な変革を九谷焼の色顔料の世界にもたらした、これはまぎれもない事実です。新しいがんぷうワールドというものを、創っていって欲しいなとこのように思います」

現代美術家・中村 元風 さん:
「研究の先に作品作りがあるんだけども、研究が思いの他長くかかってしまったので、それを本当の意味で実現する為には長生きするしかないと、そういうことで百十歳まで、あと40年間生きることを目標に頑張っていきます」

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